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薬剤師によるがん患者さん向け情報サイト

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公開:2022年2月15日

監修:埼玉医科大学国際医療センター薬剤部 部長
牧野好倫 先生

味覚や嗅覚の異常

がん薬物療法では、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬などの薬を使用することで、副作用があらわれることがあります。そのあらわれ方や時期は使用する薬によって異なりますし、患者さんの体調や体質によっても異なります。
重篤な副作用がでた場合、治療内容の変更や治療を断念せざるを得ないこともあります。
そのようなことを防ぐためにも、自分が治療に使用する薬で生じる副作用について知ること、そして疑問や不安があれば確認しておくことが大切です。
気になる副作用があらわれたら、ただちに医師や薬剤師などの医療スタッフに連絡してください。

がん薬物療法では、細胞障害性抗がん薬、いくつかの分子標的薬などにより、がん細胞だけではなく、味を感じる正常な細胞に影響が及ぶと、味覚に変化が起きることがあります。
また、においを感じる細胞に影響が及んだ場合は嗅覚異常が起こります。
味覚の変化といってもさまざまで、食べ物の味がよくわからない、「苦い」や「鉄っぽい」といった不快な味になる、本来の味とはまったく異なる味に感じるなど人によって異なります。
がんの治療中の味覚異常は、薬の影響以外にも、口腔ケアが十分ではなく汚れが残ってしまった場合や、口の中が乾燥したり唾液の分泌が減少することが原因となることもあります。
味覚異常によって食欲がなくなると食事の量が減少し、結果、低栄養になることがあります。
味覚異常は薬物療法を開始して2週間くらいの間に発症することが多いといわれています。ただし、これはあくまで目安であり、実際の発現時期や期間には個人差があります。

在宅時のセルフケア

口腔ケアをしっかり行うことが大切です。食後や寝る前の歯みがきを心がけましょう。口腔内を傷めないためにはやわらかめの歯ブラシでやさしく磨くようにします。本人が一人で歯みがきをすることが難しい場合は、家族など周囲の方が介助するようにしてください。
入れ歯を使用している人も毎食後口をすすぐようにし、歯ぐきや舌などもスポンジブラシなどを使って口腔ケアをするようにします。また、口の中が乾燥している場合は、市販の口腔保湿剤などを使用するのもよいでしょう。

食事に関しては、1日3食、時間通りに摂ると限定せずに食べたいときに食べたいものを食べられる分だけ食べるということが大切です。決して無理をしないようにしましょう。
調理の工夫としては、味の感じ方、味覚の変化は人によって違うので、その人の症状に合わせた対応をします。たとえば、味を感じにくくなった場合は酢やケチャップ、マヨネーズなどで酸味を加えることで、味を変化させることができます。また、人肌の温度が味を感じやすいともいわれています。
味覚異常に関しては、味覚の変化によって対応が異なりますので、医師や薬剤師、管理栄養士などの医療スタッフに相談してください。
においの変化については、患者さん本人とよく話し合って、においの強いものを遠ざけるや、換気を積極的に行う、食事のにおいが気になるときには冷ましてから食べる、短時間で調理できるもの(缶詰や市販のお総菜など)を利用するなどの工夫をしてみてください。