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薬剤師によるがん患者さん向け情報サイト

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公開:2022年2月15日
更新:2024年8月

監修:埼玉医科大学国際医療センター薬剤部 部長
牧野好倫 先生

感染症・貧血・出血(骨髄抑制)

がん薬物療法では、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬などの薬を使用することで、副作用があらわれることがあります。そのあらわれ方や時期は使用する薬によって異なりますし、患者さんの体調や体質によっても異なります。
重篤な副作用がでた場合、治療内容の変更や治療を断念せざるを得ないこともあります。
そのようなことを防ぐためにも、自分が治療に使用する薬で生じる副作用について知ること、そして疑問や不安があれば確認しておくことが大切です。
気になる副作用があらわれたら、ただちに医師や薬剤師などの医療スタッフに連絡してください。

がん薬物療法では、細胞障害性抗がん薬、いくつかの分子標的薬などにより、がん細胞だけでなく、骨髄を含めた正常な細胞にも影響が及びます。薬の副作用により血液をつくる骨髄の機能の働きが低下することを「骨髄抑制」といい、血液をつくる機能が低下した結果、白血球、赤血球、血小板が減少します。

その場合、次のような症状が現れます。

感染症 白血球が減少すると感染症にかかりやすくなります。感染症にかかった場合、発熱などの症状があらわれることがあります。
その他の症状には次のようなものもあります。
咳、息切れ、悪寒・戦慄
貧血 赤血球が減少すると貧血になることがあります。
症状には、次のようなものがあります。
手足が冷たい▽顔色が悪い▽爪の色や結膜(下まぶた)が白い▽めまい、立ちくらみがする▽疲れやすい▽動悸、息切れがする
出血 血小板が減少すると血が止まりにくくなることがあります。
症状には、次のようなものがあります。
内出血(あざ)ができる▽歯磨きなどにより口の中から出血する▽鼻かみにより鼻粘膜から出血する

投与後数日から4週間くらいの間で出現することが多いといわれています。ただし、あくまで目安であり、実際の発現時期や期間には個人差があります。

在宅時のセルフケア

感染症への予防策としては、うがい、手洗い、マスクの着用を徹底するようにします。気温、湿度が低い時期にはとくに衛生管理を徹底しましょう。
発熱時は我慢せず、必ず治療中の医療機関に連絡しましょう。
貧血では、からだを動かしたときの息切れや動悸、立ちくらみ、顔面蒼白などの症状がみられます。このような身体の変化に注意をするようにします。
血小板が減少すると血が止まりにくくなりますので、切り傷や打撲などに注意してください。歯みがきもやさしくブラッシングするようにします。入浴時などに内出血ができていないか、チェックするとよいでしょう。
感染症、貧血、出血は、抗がん薬の副作用以外でも起きることがありますが、治療中にこれらの症状に気づいたら、担当の医師や薬剤師などの医療スタッフに相談してください。

感染症 白血球が減少すると感染症にかかりやすくなります。感染症にかかった場合、発熱などの症状があらわれることがあります。
その他の症状には、次のようなものもあります。
  • 息切れ
  • 身体が震えて止まらない(止めようと思っても止まらない)
貧血 赤血球が減少すると貧血になることがあります。
症状には、次のようなものがあります。
  • 手足が冷たい
  • 顔色が悪い
  • 爪の色や結膜(下まぶた)が白い
  • めまい、立ちくらみがする
  • 疲れやすい
  • 動悸、息切れがする
出血 血小板減少が減少すると血が止まりにくくなることがあります。
症状には、次のようなものがあります。
  • 内出血(あざ)ができる
  • 歯磨きなどにより口の中から出血する
  • 鼻かみにより鼻粘膜から出血する