感染症・貧血・
出血(骨髄抑制)
公開:2022年2月15日
更新:2024年8月
監修:埼玉医科大学国際医療センター薬剤部 部長
牧野好倫 先生
がん薬物療法では、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬などの薬を使用することで、副作用があらわれることがあります。そのあらわれ方や時期は使用する薬によって異なりますし、患者さんの体調や体質によっても異なります。
重篤な副作用がでた場合、治療内容の変更や治療を断念せざるを得ないこともあります。
そのようなことを防ぐためにも、自分が治療に使用する薬で生じる副作用について知ること、そして疑問や不安があれば確認しておくことが大切です。
気になる副作用があらわれたら、ただちに医師や薬剤師などの医療スタッフに連絡してください。
がん薬物療法では、細胞障害性抗がん薬、いくつかの分子標的薬などによりがん細胞だけではなく末梢神経※の伝導路にも影響が及び、手足のしびれなどが生じることがあります。
しびれといっても、「ジンジンする」という感覚に違和感があるものから、「ビリッとする」という感覚が鋭敏になるもの、「何かに触れても直に触れている気がしない」という感覚が鈍るものなどさまざまです。
これらの感覚の変化によって、つかんでいたものを落としてしまう、ボタンやホックがうまく留められない、つまずきやすいなど、日常生活で悩まされることがあります。
手足のしびれは投与後数日の間に現れる急性神経障害と、蓄積性の慢性神経障害があります。人によっては症状が長引くこともあります。ただし、あくまで目安であり、実際の発現時期や期間には個人差があります。
※末梢神経:運動神経、感覚神経、自律神経の大きく3つに分けられる
しびれが悪化しないようにマッサージなどで血行をよくするとよいといわれています。マッサージは力を入れずに優しく行い、グーパーグーパーと手のひらの開閉を繰り返す運動を行うとよいでしょう。ほかには、保温を心がけるようにします。冷やすことが有効な場合もありますが、冷やすことで症状が悪化することもありますので観察しながら慎重に行います。現時点でしびれを和らげる有効な手段は見つけられていません。抗がん薬によっては、冷たいものに触らないなどの対策が必要な場合があります。体を冷やさないために、手袋や靴下、スリッパを利用するなどの工夫も心がけましょう。
「しびれ」の具合をよく観察して、変化があったら医師、薬剤師などの医療スタッフに相談してください。症状が悪化する場合などは、原因と思われる抗がん薬の減量または休薬が主な対処法となります。また、筋肉痛や関節痛を伴う場合には湿布薬や解熱鎮痛薬を処方する場合があります。
温度への感知が鈍くなり、高温を感じずにやけどをすることがあるので、調理や入浴の際には気をつけてください。
足にしびれがある場合、転倒のリスクが高くなります。滑りにくい靴を選ぶ、家のなかではつまずくようなものは床に置かないなどの工夫をしましょう。場合によっては段差をなくしたり、玄関や浴室、トイレに手すりを付けたりするといった配慮も検討する必要があります。
在宅時にできるセルフケア
(副作用対策)