公開：2024年9月

抗がん薬
Q&A

患者さんから薬剤師さんへのQ＆Aです

抗がん薬を使うと吐き気が起きると聞き心配です

抗がん薬を用いた際に吐き気が起きたり吐いてしまうことは、患者さんにとって心配な症状の一つだと思います。抗がん薬と聞くと吐き気をイメージする方が多いですが、抗がん薬でもほぼ吐き気が出ない薬があります。治療内容を聞いてみましょう。
吐き気が起きる仕組みとしては、抗がん薬が胃腸などで異物として感知されて放出された物質が脳の嘔吐中枢を刺激したり、抗がん薬が嘔吐中枢を直接刺激したりすることが考えられています。また、一度、抗がん薬による吐き気を経験すると、抗がん薬を投与する前から心理的に吐き気を感じてしまうことも考えられています。吐き気をもよおす可能性がある抗がん薬はわかっているので、多くの場合、予防のために吐き気を抑える作用のある吐き気止めが一緒に処方されます。現在では、いろいろな種類の吐き気止めがあり、どのように吐き気止めを使って吐き気を抑えるか、その基準も定められています。吐き気がつらいときには、がまんせずに遠慮なく医師や薬剤師に相談してください。
また、吐き気を軽くするために、例えば、一回の食事量を控えめにして回数を分けて食べたり、食べ物の香りにより吐き気をもよおすことがあるので冷ましてから摂るようにしたり、ゆったりした服装で体をしめつけないようにすることなどが効果的な場合もあります。生活上の工夫を薬剤師からアドバイスできる場合もありますので相談してください。

参考文献
1）国立がん研究センター : 吐き気・嘔吐. がん情報サービス.
https://ganjoho.jp/public/support/condition/nausea/index.html（2024年7⽉1⽇閲覧）
2）国立がん研究センター東病院 : 吐き気・嘔吐.
https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/CHEER/advice/020/index.html（2024年7⽉1⽇閲覧）
3）「臨床腫瘍薬学」（日本臨床腫瘍薬学会/編）, じほう, 2019

回答いただいた先生獨協医科大学病院　薬剤部
課長　外山智章　先生

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